BEAUTIFUL WORLD.

roma,italia,12:30pm

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子供の頃、山梨の山のふもとで暮らしていたとき、
夕暮れの一面の稲穂の海の中を、
愛犬と一緒に散歩してる時とかに、
この空気とか、色とか、匂いとか、
まるごと全部残して置きたいっ、と強烈に思って、
でも、そのやり方がわからなくて、
無性にそわそわしていたことがあった。
たぶん、無意識のうちに、この瞬間って
もう戻ってこないんじゃないか、と思ってたからかもしれない。

大学の授業ではじめてマチスの絵をまとめて見たとき、
一枚の絵がとても好きになって、マチスを好きになった。
それは、夏の昼下がりの暗い室内の絵で、
小さく開いた窓の向こうには、激しい光があふれる夏の街が見えた。

その絵の暗い部屋の部分を見て、
ああ、この絵の中には、自分が大好きな、強烈な夏の光が、
まるごと全部とじこめられているな、と思った。
部屋の暗い部分を見て、夏のあの強烈な光をたまらなく感じた。

そして、こんな風にいつか、大好きな夏の光を残してみたい、と思った。


あつい夏のローマの路地で、
日陰に停まっていたフィアットのチンクエチェントを撮った。

ローマのことよりも、チンクエチェントのことよりも、
夏の光のことを考えながら撮った。


夏の光とか、雪の匂いとか、
夕暮れの稲穂の海とか、
感謝の気持ちとか、
謝りたい気持ちとか、
そんなものを、
なにかの方法で、なにかに焼け付けたい。
そうしたくてしかたがない。






BEAUTIFULWORLD
by ayu_transit | 2008-01-21 00:42