BEAUTIFUL WORLD.

Temple de la Sagrada Familia,barcelona,espana 15:00pm

少年は、病気がちで、よく学校を休んだので
友達ができなかった。
だから、野原や森でひとりで遊んだ。
野原の草や蔦や花や、花に集まる蜂や、
指にとまるとんぼや、森の樹々や、
樹々からこぼれる木漏れ日のプリズムや、
樹々を揺らす風や、鳥や、岩や海や雲が友達だった。

少年は大人になって、
建築家になったけど、
野原の草や蔦や花や、虫や森の木漏れ日なんかが
モチーフだったから、
ずっと友達と一緒にいることができた。

歳をとった少年に、
街の真ん中に立てる教会の依頼が来たとき、
構造体のモチーフは、はじめから決まっていた。

伸びやかに茂げる森の樹々。

樹々は空高く駆け上がり、
枝をのばし、天井で葉を茂らせた。

教会のファサードには、樹々に集まる鳥の
彫刻をあしらえようと思った。
ステンドグラスもモチーフは、具体的な宗教画よりも
木漏れ日のプリズムや
植物の葉のつらなりのようなものがいいな、と思った。

晩年、少年は、この教会に住み込んで
建築の指示を出した。

たまたま市電にひかれて亡くなったけど、
年老いた少年は、
街の真ん中に、
世界の真ん中に、
自分の森をつくって、
死ぬまで、友達と一緒にいた。


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BEAUTIFUL WORLD
by ayu_transit | 2006-08-15 08:38