BEAUTIFUL WORLD.

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bagatelle,bois de boulogne,paris,france 17:30pm

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海外に行って、ただ、ああ楽しかった、なんて
思ったことは1度もない。

景色、空気、気候、
人、言葉、生活、
質感、造形、配色、光、
歴史、思想、宗教、
坂のこう配、石畳の歩きづらさ、
かえす波が小石をつれてゆく音、
冬の朝の通りにただようカフェやバールからの匂い、
赤道に近い場所の洗練、
ダンスの切れ味、音楽の本気のグルーブ、
その場所の食べ物や飲み物の本気の味覚、
画家の、音楽家の、建築家の、革命家の余韻。。

そんな「異物」が、
冷たい棘のように刺さってしまうから。

そして、
それで、キミは何者なの?
それで、キミは何ができるの?
なんて聞かれてる気がするから。

「ただ楽しい」わけがない。
でも、また飛行機に乗るのは、
たぶんその棘の痛さを渇望しているからかもしれない。


パリ、ブローニュの森の奥深く、
バガテル公園、
たちまち雲がきれて、色鮮やかな西日が
バラ園の無数のバラを浮かび上がらせる。

無数の棘が、
なにかにつけてなまけようとし、
守りに入ろうとする身体に、
深く、冷たく刺さってゆく。





BEAUTIFUL WORLD
by ayu_transit | 2006-10-28 15:49

shichirigahama,kanagawa,japan 7:00am

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朝、眠い目をこすりながら、クルマを出して、七里ケ浜へ。
6、7分で到着。

海沿いのセブンイレブンの大きな駐車場に、
ちょっとだけ入れさせてもらい、
信号を渡り、海岸へ降りる。

三浦半島から昇りたての強い日射し。
目の前に寄せる波のサラウンド。
足がめりこむ砂浜。
まぶしく輝く海岸線。

一日がはじまる時間の、いつもの浜辺。

海の光と響きをあびていると、
なんだか、身体の骨が、
いい骨になってくような気がする。
(気がするだけだけどね)





BEAUTIFUL WORLD
by ayu_transit | 2006-10-22 02:31

sevilla,andalucia,espana 9:30am

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9月、午前中の早めなら、
まだ、風はひんやりしてる。

アンダルシアの太陽が威力を発揮するのはこれから。

セビリア。
黄金の塔。
棕櫚の樹の影が、
朝の風に気持ち良く揺れる。

まだ、日陰っている河沿いの遊歩道の上には、
覆いかぶさるようなジャカランダの樹。
ムラサキ色の花。

大陸を南下して、「イスラム」の近くに
来ているんだな、と感じる。

なぜだろう。
別のルールや常識があるからか。
ヒューマニズムを寄せ付けないからか、
「イスラム」に近づくと
ゾっとするような、ワクワクするような。。
つまり、血が騒ぐ。





BEAUTIFUL WORLD
by ayu_transit | 2006-10-17 01:35

arezzo,toscana,italia 16:30pm

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トスカーナの中くらいの町、
アレッツォが好きだということを、
どうやって伝えればいいだろう。

バスターミナルから、このグランデ広場まで続く、
ごく「ふつうの」商店街のあのイタリアの素顔を、なんて伝えたらいいだろう。

商店街は、クルマの入って来ない大きな石畳の通り、
レコードさんから、スティングの新作が流れている。
観光客の姿はほとんどない。
ましてや団体も。。
冬の夕暮れの活気、心地よい疲労感、
買い物袋を下げて家路につくひと。
食べ物の匂い、赤みを帯びながら傾く夕日。
せつなくなるような日常。

グランデ広場は、こじんまりとしていながら、
きちんと歴史の重厚さが感じられる。
広場は、大きく傾斜していて、演劇的な効果がある。
子供達がそろそろ、家に帰ろうとしている。
夕日が市庁舎の時計台に陰る。
何者かわからない、いい味だしてるおじさんをパチリ。


この広場の記憶が急に目の前で動き出したのは数年後。
映画館のスクリーンいっぱいに広がるグランデ広場を
主人公が歓声を上げながら、自転車でいきおいよく下ってゆく。
映画の名前は、「life is beautiful」。
あ、アレッツォだ、なっつかしいなあ、と感極まる。

ロベルト・べニーニ演じる主人公は、
「笑うこととか、素敵なことって、もっともつらい時に
発揮できなければ、なんの意味もないんだぜ」なんていうような
壮絶なメッセージを、まるでウインクするように、したあと、
ナチスの銃弾を数発あびて、亡くなった。

アレッツォの「ふつう」でせつない夕暮れと
ロベルト・べニーニの「ウインク」が、まざりあって、
大事なものがまた増えた。

生きてると、偶然なにかとなにかが繋がり合って、
かけがえのないミックスジュースができあがる。





BEAUTIFUL WORLD
by ayu_transit | 2006-10-14 23:06

deauville,normandie,france 13:30pm

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フランス北部のリゾート、ドーヴィルの海岸。

ひんやりとあたたかい快晴のノルマンディ。

さざ波を楽しむように老人がゆっくりと歩いてゆく。

こんなふうに人生がおだやかに晴れ渡る日が来るだろうか。
こんなふうにさざ波を無心で楽しむ老人になれるだろうか。


まだまだだね、

と、きっと言われるだろうな。

はい先輩、出直してきますっ
と思いながら、
長い長い、白い白い砂浜を
ボードウォークまでひきかえした。





BEAUTIFUL WORLD
by ayu_transit | 2006-10-05 03:06